イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。
時間が経つにつれ、お皿の料理もどんどん減り、そして空になったお酒の缶も増えていく。私はもうお酒は駄目だという湊さんからのお達しを守り残っているお料理を食べつつ、楽しく騒ぐ皆さんの話に耳を傾けていた。
そして、ここの家主である湊さんのストップでお開きとなった。
私はここに泊まる設定らしく、テーブルの上のお皿を片付けつつ、タクシー組の皆さんを見送った。べろんべろんな方二人は湊さんに引っ張られて行ったけれど、大丈夫だろうか。明日休みらしいけれど、きっと二日酔い確定だと思う。
さて、缶も集めて洗っちゃおう。アルミだよね?
そう、思っていた時だった。
「ごめんね瑠奈ちゃ~ん、片付け任せちゃって」
「え?」
キッチンに入ってきたのは……早瀬さんだった。さっき、海さん達と一緒に家を出たんじゃ……?
そう聞きたかったけれど、いきなり接近してきた。
「あら? 瑠奈ちゃん食洗器使わないの?」
「え? あっ……」
このキッチンには、食洗器が付いている。けれど、私は生まれてこの方家庭用の食洗器を使った事がない。
アルバイトで業務用のものは何回か使った事はあるけれど……見たところお高い食洗器っぽいから説明書なしに勝手に使ってしまうのはマズいんじゃないかと思っていたんだけど……
でも、早瀬さんには私がここで料理をしていると言ってしまってる。だから、こんなに便利な食洗器をあえて使っていない事に不審に思ってしまうかもしれない。
「私、機械音痴なんです」
「ふぅん……本当に?」
「っ……」
隣に立つ早瀬さんは、私の顔を覗いてきた。その視線は、鋭い。
もしかして……何か、気が付いた? 私と、湊さんの契約について。
けれど、思い出すのはついさっき湊さんと早瀬さんの会話。私と誰かがキスをしていた、浮気をしている。そう言っていた話を。
「……お恥ずかしながら、一回、壊してしまって……変な音、鳴らしちゃったんです。その時は大丈夫だったんですけど、湊さんがいる時に使お……」
「ねぇ、瑠奈ちゃん。どうしてそんなに緊張してるの?」
私の言葉を遮るかのように言葉をかぶせてきた早瀬さん。
どう、しよう……これは、マズい?
湊さんは、まだ帰ってこない……?
その時だった。私の目の前に、スマホ画面が出された。早瀬さんのスマホらしく、その画面に映し出されたものに目を見張った。
その画面には、とある写真が映っていた。
「彼氏が警察官だっていうのに、浮気するなんて信じらんな~い。そんなに湊君の事舐めてるのかしら」
「……」
「ただの大学生で、アルバイトなんてしてるあんたが、エリート警視の湊君の彼女ですって? しかも浮気だなんてよく出来るわね。ねぇ、これ湊君に見せたらどうなると思う?」
「……」
どう、でしょうね……とりあえず、私は湊さんを私のアルバイト先、あの居酒屋に連れていきますね。