イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。
そのスマホ画面の写真に映っている男女……のように見える二人。手を繋いで、男性は女性の頭に手を置いている。確かに、その女性は私だ。そしてもう片方の男性……いや、〝女性〟はその居酒屋の先輩だ。
この方は私よりもだいぶ背の高い方で、最近はメンズライクコーデにハマっている。だから、ジーンズにシャツにキャップを被っているけれど、着ていらっしゃるのは正真正銘の女性だ。
まぁ、性格は男らしい方でもあるけれど、顔は可愛い方。写真は顔が隠れちゃってるから分かりづらいか。
さて、これはどうしたものか。
でも、そういえば早瀬さんさっき湊さんに何か見せてなかったっけ。もしかして、これ? もしそうだったら……もう見せてない? キスしていたところを見たらしいけれど、全くもってそんな事はしてない。そもそも先輩には彼氏がいるし。
見たところ、恐らく仕事終わりの帰り道。先輩と駅が一緒だから時間が合う時は一緒に行く事が多い。だからその時なんだろうけれど……ここで、彼は女性でただのアルバイト先の先輩ですと言ったところで、信じてくれるだろうか。
恐らく早瀬さんは私が浮気をしていると思い違いをしてる。これはさすがに契約違反……?
「ふふっ、一体どんな汚い手を使ったか知らないけどさぁ、あんなにスペックが高くてエリートな湊君捕まえられたのにすぐ捨てられるなんて、なんて惨めなのかしら!」
その言葉に、カチンと来てしまった。ちょっと待て、その言い方……
「分かるわよ? だって湊君スペック高いし、警察官なんてレベルの高い職業でしかもエリート。更には安定した高収入。でもね、アルバイトなんてしてる大学生が手を出していい人じゃないの」
「っ……」
早瀬さんは、私の顎を掴みこちらに向かせた。勝ち誇ったような、馬鹿にしたような目を向けてくる。
まだ二回しか会った事がないけれど、私が今まで見てきた彼女とは全く違う姿に驚いてしまう。