イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。
「はぁ、おい瑠奈」
その言葉に、つい肩が上がってしまった。怒られる? さっさと帰れと、一人で帰れと言われてしまう?
私に視線を向けて、そして、近付いてくる。
「だぁから、食洗器使えっていつも言ってるだろ」
私は、耳を疑った。
食洗器……?
「手洗いは時間かかって大変だろ」
私の手を引っ張り、食洗器の前に立たせた。至近距離で後ろに立ち、食洗器のスイッチを押す。
「ここ押して、食器入れてふたを閉めて、で? どこ押すんだ?」
「……ここ?」
「そう。別に壊したところで爆発なんてしないんだから安心して使え」
ば、爆発……いや、さすがに爆発するとは思っていない。もしかして、馬鹿にしてません?
「……でも、また壊れたら大変ですし。これ、いいやつですし……」
「公務員の給料舐めんな。あとで給与明細でも見せてやろうか?」
「結構です」
「即答だな……」
いつも通りの湊さんに一瞬安心してしまったけれど、どう、思っているのか分からない。けれど今はアルバイト中。だから、仕事はちゃんとしないと。……仕事に、私情を混ぜるな。
「早瀬、片づけは俺達でやるからさっさと帰れ」
「っ……」
一瞬私を睨み、またね、と湊さんに伝え帰っていった。
静かになった、キッチン。さっきまでだいぶ賑やかだったから、余計静かに感じる。
湊さん、早瀬さん一人で帰らせちゃったけど……どう、なんだろう。