イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。
次に目が覚めた時には、何となくいい匂いがしていたように感じた。もしかして、キッチンに誰かいる……?
ここは10畳間で廊下にキッチンが兼ねてありその先に玄関がある。けれど、部屋の先にドアがあるからキッチンは見えない。
……琳って、料理、出来たっけ? も、しや……
あまり動かない頭で、ふとこの前にした話を思い出した。
「……りー……ん!」
まさか、家の料理人とか連れてきてないよね……? 私の手料理の話をして、ウチの料理人連れてきてあげようか、と言われた時の恐ろしさで寒気すらする。寝る前より身体は楽だけど、また悪化しそうなんですけど……!?
けれど……
「起きたか。風邪こじらせてるんだから、あまりデカい声出すな」
あり得ない人がこの部屋を覗き、私はまだ夢を見ているのかと疑った。どうして……湊さんがそこにいらっしゃるのだろうか。
おかしいな、ここにいるはずないのに……いや、さすがに夢、よね……ちょっと待って、頭痛くなってきた。もう無理、頭動かない……熱いし喉乾いたし寒気もするし……お腹空いた。
ぼーっとする頭で、入ってきた湊さんを見つめる事しか出来ない。これ、夢で合ってる……?
「喉乾いたか? 水、飲むか」
「……」
「水分補給は大切だからな。頭痛と腹痛って清水さんは言ってたいが……今はどうだ?」
……ちょっと待って、何でそこで琳が出てくるわけ……?
ま、さか……
「……本物?」
「本物だ。電話を掛けたら清水さんが出て、瑠奈が風邪だから来てくれと呼ばれたからここにいるんだ」
「あの馬鹿ぁ……」
やってくれたな……相手は警察官で忙しい人だってのに……
「文句は風邪が治ってからだ。で、今はどうだ? 薬は一回飲んだんだろ?」
「……もう、大丈夫、です」
「なわけあるか。まだ熱があるだろ。顔真っ赤にしやがって……」
湊さんの冷たい手が、頬に触れた。確かに熱はあるけれど、これだけでもっと熱が上がりそう……それにこんなみっともない姿を見せてしまって恥ずかしい……
「……治りかけです」
「治りかけでも病人に変わりはない」
「……移します」
「俺は風邪引かない。俺の心配より自分の心配をしろ」
……はい。いや、風邪引かないって……どうなんです、それ。
でも、看病なんてされた事がないし、相手が湊さんだから頭がこんがらがるというか、何というか。だから、よく分からず逆側に向いてしまった。失礼だったかな、とも思ったけれど……どんどん熱が上がってるようにも感じるから余裕もない。