イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。
アルバイトが終わりを告げた。3ヶ月という期間ではあったけれど、長かったような、短かったような。いや、自分では短かったように感じる。
ただ、アルバイトが終わっただけ。まだ借金は残っているけれど、それ以外は今までと同じ日常が戻ってきたはずなのに、何故だか気が沈んでしまっている。どうしてだろうか。
「これでアルバイトは終了だ。あと一ヶ月分はもう振り込んだが確認したか?」
「っあ、はい、確認しました……」
「そうか。3ヶ月間、助かった。ありがとう」
あれから、アルバイト終了という事でカフェで話をする事になった。けれど、あまり湊さんの顔を見ることが出来ない。ありがとう、と言われたけれど……私はお礼を言われる資格はあるのだろうか。
「あの、支給品はどうしたらいいですか?」
「あぁ、全部貰ってくれていい」
「えっ……」
ぜ、全部? だって、服だったり靴だったりといっぱいあるのに……いいの?
「今回の礼だとでも思ってくれていい。好きに使ってくれ」
「……じゃあ、これだけは返させてください」
そう言いつつ、私は今日付けなかったとあるものをバッグから出して彼の目の前に置いた。それは、彼の腕時計。あの三ヶ月前からずっと付けていたものだ。でも、今日は付けずにいた。……何となく、付けたくなかったから。
「……いや、あげたものだからこれも貰ってくれ」
「いえ、これは返します」
これは、私が持つ資格はないと思うから。だって、今回のアルバイトはちゃんと出来なかった気もしてる。彼にあんなことを言わせてしまったのだから。
警察官という職業に就けて誇りに思っている彼に、あんなことを言わせてしまったのは私のせいだから。例え、それが本気でなかったとしても。
「……なら、提案がある」
「えっ?」
て、提案……?
彼のその言葉に、この先を聞いてもいいのかという焦りが出てしまった。一体、どんな提案……?