幽霊姫は止まれない!
 何故かどんどん汗を滲ませていくオスキャルに一歩ずつにじり寄りながら顔を見上げる。そんな私の視線から逃げるように顔を背けたオスキャルだが、これ以上は逃げられないと観念したのか両手を上にあげ降参するかのようなポーズをとった。

「歓楽街がッ! ありますッ!」
「……歓楽街?」
 そして言われた言葉に首を傾げた。

 歓楽街。歓楽街って言えば、酒屋とかが集まっている一角で、主に騎士たちが遊びに行ったりしていると聞いたことがある。
(まぁ、お兄様は行かれないけど)
 オスキャルも騎士だ。騎士仲間に誘われてそういった場所へ行っていても何も不思議ではなく、何故こんなに話辛そうだったのかがわからない。

「別に、いいんじゃない? 成人だってしてるんだし」
「えっ、ふ、不潔とかは思われませんか?」
「思わないわよ」
(そりゃお酒を提供する場所だし、そういった酒屋は多少店内が汚れている方が味がいいとか聞いたことがあるもの)
「えっ、そ、そうなんですか!?」
「そっちの方が美味しいし、楽しいんでしょ?」
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