幽霊姫は止まれない!
(どうやったのかは知らないけど)

 王太子妃になって王族へ入ることを目標にしているなら、成功と言っていいかは微妙なライン。
 けれど魔力を使わなくては見つけられないくらい上手く経歴を隠し、こちら側に聖女を潜り込ませた誰かはきっと強敵だ。
 
 そしてその誰かなら、きっと三か月後に何が起こるのかを知っているはず。

「三か月後に何が起きるのかを知っているのか、何かを起こすつもりなのかはわからないけどね」
「黒幕が預言の力を持っているのか、それともその黒幕が何かを企てているってことですか」
「えぇ。そうじゃないと色々辻褄が合わないもの」

(今よりももっと、誰もに敬われる立場が欲しくないか、とか言って唆されたんじゃないかしら)

 万が一失敗しても、素性を隠し密会していた場所が娼館のみであれば彼女から情報は漏れないだろう。 
 
「多分お兄様やお姉様たちも、預言が本物ではないと思っているはずよ」
「やっぱりぎっくり腰程度だからですか?」
「それもあるけど……。ならなんで候補として迎え入れたと思う?」

 私がそう聞くと、オスキャルの顔色が悪くなる。
 流石の彼も、ある可能性に気付いたのだ。
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