幽霊姫は止まれない!
「クーデター、ですか」
誰にも聞こえないよう極力落とした声色に、私はコクリと頷いた。
「多分ぎっくり腰は聖女の力で知ったんだと思う」
「預言?」
「んー、そこは断言できないけど。例えばお姉様たちのどちらかの能力があれば事前に知って預言することは可能よね」
「確かに、もし聖女様に魔力があるのならその能力で声を聞いてから宣言することもできたってことですか」
「そう」
ぎっくり腰をした人間が別に父ではなくても良かったのだ。誰かの呻き声や、その会話を能力で聞いてあたかもそれを元から知っていたように振る舞えばいい。それだけで彼女はひとつ預言を成功させたことになる。
いきなり後ろ盾も身分もわからない『自称・預言の聖女』が現れれば全員が怪しいと思い、門前払いだろう。私たちのところにまで話が通る可能性だって低いが、目の前で何かひとつでも預言をしてみせればどうだ?