幽霊姫は止まれない!
 それがどんな小さな……例えばぎっくり腰であっても、少なくとも門兵たちは〝もしかしたら本物かもしれない〟〝自分たちでは判断できない〟と上へ話を通すはず。その通した相手も別に王族でなくてもいいのだ、その『次』の預言で信じさせればいいのだから。

「きっと、他に仕込みの預言を持って来ていたと思うのよ」
「仕込みの?」
「えぇ。まさかぎっくり腰の預言で王太子妃候補になれるなんて聖女だって思ってなかったはずだもの。だから、確実な仕込みをして預言の聖女であるという証拠をみせるつもりだったと思うのよね」
「まさか、それに気付いてすぐさま候補として王城へ迎えられたってことですか!?」
「お兄様はとっても賢いから、そうだと思うわ。その仕込みが、誰かに危害を加えるものである可能性だってあるからね」

 だって彼女に指示した黒幕がいるのだ。彼女が単独犯でないなら、市街地に爆発物を置き彼女の合図に合わせ爆発を起こさせればいい。
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