幽霊姫は止まれない!
 顔を引きつらせた聖女が小さく顔を左右に振る。その彼女の仕草と言葉に勝ちを確信した。

(トドメよ!)

「じゃあ、俺とちゅうちゅうしてくれるってことですか?」
「~~~っ、……えぇ、一夜だけ、でよろしければ」
「はい、では今晩!」

 しどろもどろにそう答える聖女に満面の笑みを向ける。
 彼女の足に縋りついて懇願するという状況にならなかったことを若干もったいなく感じつつ、この成果をオスキャルに伝えるのを楽しみにしながら渡り廊下へと戻ったのだった。
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