幽霊姫は止まれない!
 〝恋愛感情〟を前提にしなければ、ヤキモチと言う聖女の言葉もあながち間違いではないだろう。
 オスキャルに対し独占欲を持っていると、そう自覚したのは隣国へ行きイェッタと対峙した時だ。だが、それだけ。彼の主人は私だし、私の専属護衛騎士なのだ。特別な感情を持ってもおかしくはないはずだから。
(だから、この胸にくすぶる気持ちは過ちではないもの)

「ふぅん。姫様は子供なのだと思ったけれど、案外大人だったのね」
「どういう意味?」
「その答えは……そうね。全て解決した時に教えてあげる」
「はぁ?」
「知りたいでしょ? 貴女が目を瞑っているその姿を、私にはどう見えているのか」
「え? 別に」
 わざとらしくもったいぶった言い方をする聖女に思わず怪訝な顔をしてしまうが、からかうつもりだというのが彼女の表情から伝わってくるので私はついムスッと唇を尖らせた。

 この話に乗ってもきっと損なだけだろう。
(教えられる程度の自己分析、私だってできるもの)
 人には教えられないような、自分では気づかない悪癖なんかに気付いた、とかであれば興味が出たかもしれないが、提示されたのはただの彼女の一評価。
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