幽霊姫は止まれない!
『騎士団を見に行こう、楽しいぞ!』なんて言って強制的に連れられ、俺はこのまま騎士の宿舎へと捨てられるのだ。──なんて、今当時のことを考えれば、騎士の試験も受けずに騎士になれるわけがないのに勘違いにもほどがあるのだが──それでも、当時の俺は家族から捨てられるのだと、三男だからいらない子なのだと思い込み不貞腐れていた。

 いつも家庭教師と勉強漬けの兄ふたり。対して自由に遊びまわれる三男の俺。
 兄からすればこの自由さが羨ましかっただろうが、俺からすれば仲間はずれにされている気がしてすごく嫌だった。
 所謂ないものねだりというやつだ。

 もちろん俺の両親は俺をないがしろにしていたわけではない。
 むしろ今思えば、三男として生まれたからこそ〝役割〟がない俺に、好きなものを自由に選ばせようとしてくれていた。

 だから俺は無理やり連れて行かれたけれど、あの日父から『騎士になれ』とは一言も言われなかったのだ。どんな仕事があるのか、どんなことができるのかを見せて教えようとしてくれたのだろう。

 けれど親の心子知らず、俺は思い込みから父の元を飛び出した。
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