幽霊姫は止まれない!
「エヴァ様、おはようございます。本日もいつものお時間になりました」
 本来ならば、公務などが入っていなければいくらでも寝坊して構わないのだが、エヴァ様の場合は脱走している可能性が非常に高いので、常に彼女が活動を開始する時間に合わせてこうやって呼び掛けにくるのだ。

 ちなみに俺は朝の鍛練をするためにもっと早い時間から登城しており、オーラでエヴァ様が門から抜け出していないかを監視しているので、いつもより早い時間に脱走を試みられても問題はない。

 まぁ、俺が城に来るよりもずっと早い時間に脱走されたりすれば話は別だが、ぐうたらも趣味のひとつであるエヴァ様がそこまで早起きできるとも思えないので大丈夫だろう。
 近衛騎士たちも交代で城の警備にあたっているのでそこも安心要素のひとつである。

 ちなみに、さすがにエヴァ様の部屋の中をオーラで確認することはしていない。
 そもそもオーラというのは自身の魔力を自身に纏う技術だ。そして纏う『範囲』を広げ、その範囲で何かが動いたかどうかを確認することで脱走をしていないかを確認しているだけ。
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