幽霊姫は止まれない!
第八十七話 私から手放したのよ
『……もう、いいです。俺だってもう、あなたの護衛ではいられない』
それは、当たり前の返事だった。
「私が自分で手放したのよ。傷付く資格なんて、ないんだから」
はぁ、と大きくため息を吐き、まだ昼前だというのに自分のベッドへと潜り込む。
(こんな形で失うつもりはなかった、と言えばオスキャルは信じてくれるのかしら)
そんな都合のいいことが脳裏に過り、打ち消すようにボスンと枕に顔を埋める。私が私の意思で手放したのに。
「そもそも、好きにならないとか無理だったのよ」
オスキャルは、私が幼いあの日の約束を覚えてるとは思っていないだろう。
オスキャルがあの『唯一』の約束を大事に思ってくれていることは気付いていた。気付いていて、私は覚えていないフリをしたのだ。
「だって、私の唯一は必要だけど、特別はいらないんだもの……」
いつか王族として責務を果たす時がくる。その時、ずっと特別な相手がいるなんて、相手方に失礼だろう。
私は完璧なカードとして、この想いを最後は捨てなくてはならないのだ。ならば最初から育てたくなんてない。
それは、当たり前の返事だった。
「私が自分で手放したのよ。傷付く資格なんて、ないんだから」
はぁ、と大きくため息を吐き、まだ昼前だというのに自分のベッドへと潜り込む。
(こんな形で失うつもりはなかった、と言えばオスキャルは信じてくれるのかしら)
そんな都合のいいことが脳裏に過り、打ち消すようにボスンと枕に顔を埋める。私が私の意思で手放したのに。
「そもそも、好きにならないとか無理だったのよ」
オスキャルは、私が幼いあの日の約束を覚えてるとは思っていないだろう。
オスキャルがあの『唯一』の約束を大事に思ってくれていることは気付いていた。気付いていて、私は覚えていないフリをしたのだ。
「だって、私の唯一は必要だけど、特別はいらないんだもの……」
いつか王族として責務を果たす時がくる。その時、ずっと特別な相手がいるなんて、相手方に失礼だろう。
私は完璧なカードとして、この想いを最後は捨てなくてはならないのだ。ならば最初から育てたくなんてない。