幽霊姫は止まれない!
第九十二話 はじめまして、を告げる時
「ひとり?」
「え、あっ、いえ、私は」
家族で入場したのだから、ひとりではない。が、決まったエスコート相手がいるかと聞かれればそれも否。私と違って兄たちはそれぞれがいろんな貴族の相手をしているし、人気がないのは私だけ。
(なんて答えようかしら)
つい答えに詰まっていると、その男性が軽く頭を下げた。
「本日はこのようなパーティーを開いてくださり、ありがとうございます。到着が遅れて申し訳ありません」
「え」
「もし今おひとりでしたら、エーヴァファリン殿下と親しくなるお時間を、この私、サイラス・オルコットにいただけませんか?」
「!」
パチリとおどけたように片目を瞑った彼に、思わず目を見開いてしまう。
わざとらしい冗談を交えた言い回しは、私を警戒させないためにわざとだろう。
「──、気づくのが遅れて申し訳ありません。エーヴァファリン・リンディですわ、サイラス殿下。本日は我が国へお越しくださり誠にありがとうございます」
サッとカーテシーをすると、少しだけ驚いたように彼が目を開いた後、またどこか楽しそうに細められた。
「え、あっ、いえ、私は」
家族で入場したのだから、ひとりではない。が、決まったエスコート相手がいるかと聞かれればそれも否。私と違って兄たちはそれぞれがいろんな貴族の相手をしているし、人気がないのは私だけ。
(なんて答えようかしら)
つい答えに詰まっていると、その男性が軽く頭を下げた。
「本日はこのようなパーティーを開いてくださり、ありがとうございます。到着が遅れて申し訳ありません」
「え」
「もし今おひとりでしたら、エーヴァファリン殿下と親しくなるお時間を、この私、サイラス・オルコットにいただけませんか?」
「!」
パチリとおどけたように片目を瞑った彼に、思わず目を見開いてしまう。
わざとらしい冗談を交えた言い回しは、私を警戒させないためにわざとだろう。
「──、気づくのが遅れて申し訳ありません。エーヴァファリン・リンディですわ、サイラス殿下。本日は我が国へお越しくださり誠にありがとうございます」
サッとカーテシーをすると、少しだけ驚いたように彼が目を開いた後、またどこか楽しそうに細められた。