幽霊姫は止まれない!
(国もメリットとして十分だわ!)
国のためになる相手と結婚したい、その願いが、まさかこんなに早く現実的に、そしてなるとは思わなかった。
しかも兄のお墨付きで、魔力の量にあまりこだわりのない相手。
そこまで考え、喉がごくりと鳴る。
もしかしたら彼は、私がずっと求めていた理想の人なのではないだろうか。
私は今、絶対掴むべきチャンスを目の前にしているのかもしれない。そう思う、けれど……
──オスキャル。
自分の中でつい思い出してしまう名前に苦笑する。
「エヴァ?」
「あ、ごめんなさい。えーっと子供は」
「追いかけっこしてたら全員逃げてったよ、俺何人との子供が生まれるかな?」
「それ、他で言ったらダメですよ」
「国レベルの問題になるからな」
あははっ、っと笑いながらそんな冗談を言うサイラスが自然な流れで私の手を繋ぐ。
その手を、同じく自然な流れで受け入れながら、やはり高鳴らない鼓動に小さな安心をして胸の奥が重くなった。
「高台行きましょう、この先なんです」
「うわ、凄い階段だな。俺が疲れたらエヴァが引っ張ってくれ、頼んだ」
国のためになる相手と結婚したい、その願いが、まさかこんなに早く現実的に、そしてなるとは思わなかった。
しかも兄のお墨付きで、魔力の量にあまりこだわりのない相手。
そこまで考え、喉がごくりと鳴る。
もしかしたら彼は、私がずっと求めていた理想の人なのではないだろうか。
私は今、絶対掴むべきチャンスを目の前にしているのかもしれない。そう思う、けれど……
──オスキャル。
自分の中でつい思い出してしまう名前に苦笑する。
「エヴァ?」
「あ、ごめんなさい。えーっと子供は」
「追いかけっこしてたら全員逃げてったよ、俺何人との子供が生まれるかな?」
「それ、他で言ったらダメですよ」
「国レベルの問題になるからな」
あははっ、っと笑いながらそんな冗談を言うサイラスが自然な流れで私の手を繋ぐ。
その手を、同じく自然な流れで受け入れながら、やはり高鳴らない鼓動に小さな安心をして胸の奥が重くなった。
「高台行きましょう、この先なんです」
「うわ、凄い階段だな。俺が疲れたらエヴァが引っ張ってくれ、頼んだ」