幽霊姫は止まれない!
第百二話 甘える訳にはいかないから
「さぁ、お手をどうぞ。お姫様」
一歩先に馬車から降りたサイラスが、恭しく手を差し出してくれる。
そのわざとらしい様子にクスリと笑った私は、馬車から降りて目の前に広がる公爵邸にごくりと息を呑んだ。
(ここが、ノルベルト公爵の家……)
華やかさこそないが、厳格さを携えたその邸宅は、まるで誰も歓迎していないように見えて怯みそうになる。だが、私の隣にはサイラスがいた。
隣国から来ている彼の目的のひとつに、新しい街道と港を開く計画のための顔繋ぎがあると言っていたことを思い出し、今日この場に連れ出した以上彼の役に立たねばとそう思い直す。
内政管理や外交、国家運営の管理を担っている宰相ならば、サイラスにとってこれ以上の相手はいないだろう。
(それに宰相なら、どこまで話すかの範囲だってちゃんとわかっているはずだわ)
兄の友人でもあるサイラスがわざと機密部分を漏らすような策略を巡らすとは思ってはいないが、誰にでもうっかりということはある。
一歩先に馬車から降りたサイラスが、恭しく手を差し出してくれる。
そのわざとらしい様子にクスリと笑った私は、馬車から降りて目の前に広がる公爵邸にごくりと息を呑んだ。
(ここが、ノルベルト公爵の家……)
華やかさこそないが、厳格さを携えたその邸宅は、まるで誰も歓迎していないように見えて怯みそうになる。だが、私の隣にはサイラスがいた。
隣国から来ている彼の目的のひとつに、新しい街道と港を開く計画のための顔繋ぎがあると言っていたことを思い出し、今日この場に連れ出した以上彼の役に立たねばとそう思い直す。
内政管理や外交、国家運営の管理を担っている宰相ならば、サイラスにとってこれ以上の相手はいないだろう。
(それに宰相なら、どこまで話すかの範囲だってちゃんとわかっているはずだわ)
兄の友人でもあるサイラスがわざと機密部分を漏らすような策略を巡らすとは思ってはいないが、誰にでもうっかりということはある。