幽霊姫は止まれない!
 地面へと着地した俺はそのままグンッと足を曲げ、オーラで強化した足でそのまま再び飛び上がる。空中で体を捻った俺は飛び降りた高さと同じだけ飛び上がり、エヴァ様の私室のバルコニーへとジャンプひとつで戻ってきた。
「さぁ、追いかけっこは終了ですよ」
「ちょ、ちょっと! 流石にそれは卑怯だわ!」
 一瞬で戻ってきた俺に慌てふためいたエヴァ様が、私室の扉から飛び出して廊下に逃げるか、バルコニーの扉まで戻り鍵を掛けて俺をバルコニーに閉じ込めるかを迷ったようにキョロキョロとする。
(チェックメイトだな)
 結局猛ダッシュで私室から出ることを選んだエヴァ様だったが、一瞬の迷いは命取り。あっさりと彼女を確保した俺は、にこりと微笑んだ。
「さぁ、家庭教師の先生がお待ちですよ」
「うぐぐ……」
 そうして俺は今朝の攻防を無事に終え、彼女を家庭教師の元へ連行したのだった。

 ◇◇◇

「お疲れ様でした、エヴァ様」
 俺がにこりとそう告げると、勉強を終えたエヴァ様がムスッとした表情で近付いてくる。勉強内容にももちろんよるが、護衛騎士である俺は彼女が授業を受けている最中も扉の近くで控えていた。
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