BaD
それでも貧乏で、ろくに遊び道具を持っていないこの村の子供たちにとっておもちゃなどという個人用の玩具は、お目にかかるだけでも喜ばしい存在であった。

それを、主人がいなくなったおもちゃたちが、新たな主人を求めているのだ。

欲しくないワケがない。

「じゃあ、陸はやめとく?」

だからこういう時は素直になるべきである。

「行く、やっぱり僕も行くよ!」

すると彼女はうれしそうに、さっき僕が帰るときに合図したように、軽く僕の肩をたたいて小走りで鼻歌など口ずさみながらおばあさんの家へと向かった。

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