氷の花のように

運命の席替え

夏休みが終わった初日、クラスでは席替えが行われた。担任の先生が黒板に新しい席の紙を貼り出した。

ﾄﾞｸﾝﾄﾞｸﾝ...

心臓が跳ね上がっている。
震える手を握りしめ、勇気を振り絞って目の前の紙を見た。

すると、隣になったのは海斗(かいと)だ。海斗は、クラスのムードメーカーで、お調子者。最近は、好きな人がいるとか何だとか、色々噂になっている。

「美咲〜！席どう？？」
と興味津々で聞いてきたのは、華(はな)だった。華とは席が離れてしまったが、なぜかニコニコしている。
「美咲は...　海斗のとなりか！頑張れ！」

『頑張れ！』どういうことだろう？まあ、いっかと思ったその瞬間、私は海斗と目が合った。

海斗は、周りの男子と話している。だけど、たまにこちらを見てくる。どうしたのだろう。
そんなことも関係なしに、担任の先生は
「ほら〜、早く席に着けぇ〜」
と生徒にいった。

新しい席に着いたは良いものの、海斗は一向に私と話そうとしない。思い切って私から話しかけてみた。
「よろしくね、海斗！」
「あぁ、よろしく...」
海斗の顔は真っ赤になっていた。
他の男子たちもクスクス笑っている。

私は、なぜ海斗がぎこちなく話しているのかわかった。





私のこと好きなんじゃない？





そんな考えが頭をよぎった。