わけありくんを護ります

お礼を言い終えることが出来ないまま、彼は背を向けて歩いていく。

ちゃんとありがとうって伝えたかったけど、仕方ないか。
勘違いしないでって言われたし……心の中で感謝しておこ。


投げた鞄を拾い上げて、砂を優しくはらい落とす。
のびている4人が起きないうちに、私も退散しないといけない。

……ただ横たわった4人が道を塞いでいる。

踏まないように顔と顔、足と足の間を行けばいいかな。
どうか、目覚まさないでくれよ……?


「……あれ?」


私が意を決して一歩踏み出そうとした時、去ったはずの彼がこちらに振り向いた。


──えっ、何……
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