わけありくんを護ります
*
*
「──ん、……さん」
「ん……」
比江島くんの声がする……
ゆっくり目を開ければ、今朝と同じようなアングル。
言っておくけど、線越えてるからね?
「何」
ピントがあえば、私は真顔で比江島くん見た。
それに苦笑いを浮かべた比江島くんだけど、すぐ嬉しそうに笑った。
「連絡はしたんですけど、ちゃんと戻りました。これ、うちにあったクッキーです。おみやげ、というか女の子は甘いもの好きかなって、いくつか持ってきました」
はい、と起き上がる私の手にクッキーの袋を置かれる。
……後、400円。
「朝も今も勝手に入ったので……」
バカ真面目。
「返す」
私は400円を比江島くんをどつくように返した。
「え、でも俺……線」
「……クッキーでチャラにしてあげるってこと」
ふん、と顔を背ければ、お金を受け取りながら比江島くんはクスリと笑った。
「凛さん、可愛いですね」
「は……どこみてるの!?」
「どこって、凛さんのこと見てますけど?」
「そういうことではなくて……」
自分の顔が熱くなってることに、腹が立つ。
なんで比江島くんに相手に照れてんの!?