わけありくんを護ります






「──ん、……さん」

「ん……」

比江島くんの声がする……

ゆっくり目を開ければ、今朝と同じようなアングル。
言っておくけど、線越えてるからね?

「何」

ピントがあえば、私は真顔で比江島くん見た。
それに苦笑いを浮かべた比江島くんだけど、すぐ嬉しそうに笑った。

「連絡はしたんですけど、ちゃんと戻りました。これ、うちにあったクッキーです。おみやげ、というか女の子は甘いもの好きかなって、いくつか持ってきました」

はい、と起き上がる私の手にクッキーの袋を置かれる。
……後、400円。

「朝も今も勝手に入ったので……」

バカ真面目。

「返す」

私は400円を比江島くんをどつくように返した。

「え、でも俺……線」

「……クッキーでチャラにしてあげるってこと」

ふん、と顔を背ければ、お金を受け取りながら比江島くんはクスリと笑った。

「凛さん、可愛いですね」

「は……どこみてるの!?」

「どこって、凛さんのこと見てますけど?」

「そういうことではなくて……」

自分の顔が熱くなってることに、腹が立つ。
なんで比江島くんに相手に照れてんの!?
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