わけありくんを護ります
「そ、それより!忘れ物ってなんだったの」
こんな自分が気に食わなくて、私は話を変えた。
「あぁ、実は昨日風呂場で眼鏡を落としちゃって……フレームが少し曲がっちゃったんです。だから直すために替えのやつ、と思ったらなくて」
「眼鏡のためにわざわざ実家に……?」
「な、なんですか」
「なんでもない」
1人だったのに、結局なにもしないまま比江島くんが帰ってきた。
でも……この方が落ち着くなんて。
四六時中一緒に過ごしているせい……ってこと?
こんなナヨナヨ男子といて落ち着くなんて不思議だけど。
「数時間でしたけど、ゆっくり出来ました?」
「……うん、とっても。有意義だった」
「そうですか!それなら良かったです。いつもお世話になってるから、ゆっくりとした時間を過ごせたなら。寝顔見れて俺もラッキーでし……あっ、怖い顔しないでっ」
「……ふふっ」
こういう……素直というか、ウソの1つも見抜けずあっさり信じるところが──
疑り深い私とは真逆。
真逆だから、私たちはバランスとれてるのかもね──