無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
プロローグ
プロローグ
碧人の身体がこれほど筋肉質だとは思わなかった。
美月の全身に覆いかぶさる鍛えられた身体はどこも固くて、しっとり汗ばんでいる。
それにこんなに体温が高かったのだと、浅い呼吸を繰り返しながら思う。
きっとそれは美月も同じ。体中をまるで沸騰しているように熱い血液が駆け巡り、碧人に負けないほどどこもかしこも湿り気を帯びている。
おまけに初めて触れる自分以外の肌はどこか違和感があって慣れず、無意識に避けようとするだけでなく身体にうっすら鳥肌が立っている。
長く想い続けている相手とようやく肌を合わせているというのに、なぜかしっくりこない感覚に泣きたくなる。
心は碧人を求めていても、身体が上手になじんでくれない。
「大丈夫。そのうち平気になる」
美月の切なさを察してか、碧人は美月の身体に指先や唇で優しく触れ耳もとに甘い言葉を注ぎ込む。
これが初めての経験だと知って、気遣っているのだろう。
「……はい」
美月の気持ちを見透かす碧人の声にホッとしたのもつかの間、敏感になった胸の先を碧人の指先が意味ありげに掠めた。
「んっ……」
その瞬間、痺れるほどの刺激が全身を駆け抜けて、心臓が激しく脈を打つ。
「美月」
吐息とともにささやかれた声にぎゅっと閉じていた目を開くと、目の前に懐かしい、それでいてあの頃よりも格段に大人びた端整な顔がある。
切れ長で意志の強さがわかる瞳。それは高校生だった頃と変わっていない。
額に汗を浮かべ全身を熱くしている今でさえ爽やかなのも、あの頃のまま。
ただ、くせのない柔らかな黒い髪は、航空自衛官という立場のせいか、あの頃よりずっと短くなっている。
「碧人先輩……」
夢の中でなく碧人に直接呼びかけるのは、ちょうど八年ぶり。
二歳年上の碧人とさよならしようと話をした時以来だ。
「碧人先輩」
碧人の身体がこれほど筋肉質だとは思わなかった。
美月の全身に覆いかぶさる鍛えられた身体はどこも固くて、しっとり汗ばんでいる。
それにこんなに体温が高かったのだと、浅い呼吸を繰り返しながら思う。
きっとそれは美月も同じ。体中をまるで沸騰しているように熱い血液が駆け巡り、碧人に負けないほどどこもかしこも湿り気を帯びている。
おまけに初めて触れる自分以外の肌はどこか違和感があって慣れず、無意識に避けようとするだけでなく身体にうっすら鳥肌が立っている。
長く想い続けている相手とようやく肌を合わせているというのに、なぜかしっくりこない感覚に泣きたくなる。
心は碧人を求めていても、身体が上手になじんでくれない。
「大丈夫。そのうち平気になる」
美月の切なさを察してか、碧人は美月の身体に指先や唇で優しく触れ耳もとに甘い言葉を注ぎ込む。
これが初めての経験だと知って、気遣っているのだろう。
「……はい」
美月の気持ちを見透かす碧人の声にホッとしたのもつかの間、敏感になった胸の先を碧人の指先が意味ありげに掠めた。
「んっ……」
その瞬間、痺れるほどの刺激が全身を駆け抜けて、心臓が激しく脈を打つ。
「美月」
吐息とともにささやかれた声にぎゅっと閉じていた目を開くと、目の前に懐かしい、それでいてあの頃よりも格段に大人びた端整な顔がある。
切れ長で意志の強さがわかる瞳。それは高校生だった頃と変わっていない。
額に汗を浮かべ全身を熱くしている今でさえ爽やかなのも、あの頃のまま。
ただ、くせのない柔らかな黒い髪は、航空自衛官という立場のせいか、あの頃よりずっと短くなっている。
「碧人先輩……」
夢の中でなく碧人に直接呼びかけるのは、ちょうど八年ぶり。
二歳年上の碧人とさよならしようと話をした時以来だ。
「碧人先輩」