無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
成長するにつれてどんどん碧人に似てきた蓮人を見るたび思い出して、幸せを感じたり寂しくなったり。

時には涙を流したり。

一日として碧人を思い出さない日はなかった。

「美月」

碧人は美月の身体をそっと引き離し、射貫くような目で見つめる。

「愛してるよ。美月の気持ちが俺に追いつくまで待つつもりだったが、もう無理だ」

「碧人先輩……」

私も、と続けたくて口を開こうとした時。

「ん……っ」

碧人の熱い唇に、美月の唇はあっという間に塞がれた。

互いの唇を押し付け合い、熱を重ね、美月は膝立ちで碧人にしがみつく。

再会して碧人とキスを交わすのは二回目。

まるでそれを待ち焦がれていたように互いを抱きしめ合う。

「あ……んっ」

角度を変えようと唇が離れたわずかなタイミング。 

「碧人先輩は、いいかげんやめないか」

笑いを含んだ碧人の声が部屋に響く。

「碧人さ……ん」

反射的に答えながら、ずっとそう呼びたいと願っていたことを思い出す。

けれどいざ再会しても、碧人には大切な人がいると誤解して呼べなかった。

これ以上碧人を好きになりたくないと、無意識に距離を取っていたのかもしれない。

「美月、このまま愛し合いたい」

熱い吐息とともに、美月が碧人に伝えたかった言葉が耳を掠めた。

「私も」

コクリと頷いた途端ふわりと身体が抱き上げられて、美月の目の前に碧人の熱を帯びた瞳が迫る。

そのままリビングを出て碧人が向かうのは、美月がまだ足を踏み入れたことのない場所。

碧人の寝室に違いない。

美月はこれから始まる甘い時間を想像して、あっという間に身体が熱くなるのを感じた。照れくささでぎゅっと目を閉じ碧人の首にしがみつく。

幸せだ。

今夜だけじゃない、これからずっと、碧人と一緒にいられる。それがどれほど幸せなことかを実感して、泣きそうになる。

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