裏社会の私と表社会の貴方との境界線

変化と真相

私達は引き続き、情報を集めた。


事件の真相が分かった次の日に、奇妙な手紙が届いた。


サクからの手紙で、時間がある時にメア家の屋敷に来てほしいという内容だった。


任務のことだと思ったが、瑠璃華と羅華に会ってほしいという事だ。


理由など詳細なことが書かれておらず、とても不思議な手紙だった。


さらに、サクからの手紙が届いてから数時間後に瑠璃華から手紙が届いた。


『久しぶりお姉ちゃん!お姉ちゃんがお屋敷に帰ってくるのをたなしみにしてるよ!すえきないい思い出ができるといいな。けの、怒られるのは嫌だな〜笑てけみありがとう!できるだけ早く会いたいな!瑠璃華より5時前』


と、書かれていた。


それぞれの文が違う紙に書いてあって、不思議だった。


瑠璃華は私に、何かを伝えようとしているのだろうか。


きっとこの文にはなんらかの意味がある。


私はそれを、一生懸命に考えた。


***


「わ、分からない…」


約30分ほど経った今も、よく分からないまま。


この文が不思議すぎる。


おかしな文になってしまっているから、そう感じるのだろうが。


瑠璃華がこんなおかしな文を送ってくるなんて。


絶対に何かがあったのだ。


(どうしよう…これじゃあ瑠璃華に何があったのか分からないわ…)


昔から、文からの読み取りというのが苦手だった。


私の今の能力じゃ無理かもしれない、そう諦めかけた時思わぬ人物が登場した。


「何やってんの?てか、遊んでんならやめたら?」


レンがちょうどリビングに来たところだったようで、声をかけてきた。


普段、レンから声をかけてくれることなんてないから、変な気分。


まあ、相変わらず口は悪いけど。


「うるさいわね。遊んでないわよ?これ、瑠璃華からの手紙なんだけど…」


「手紙?」


その言葉に反応して、レンは瑠璃華からの手紙を見た。


レンは文の読み取りに長けていて、得意らしい。


本当ならこれをレンに見せて、読み取りをお願いしたい。


けれど、いつもは手伝ってくれないし今回も…。


「見せて。僕がやってあげる」


「やっぱりそうよね。別にいいわよ、やってくれなくっても…え、え?!やってくれるの…?!」


私は驚きを隠せない。


(なんでいきなり手伝ってくれるようになったの?)


「は?何その態度。…まあさ、だって今は僕ら“仲間”だろ?」


「っ…!……そうね」


まさかレンからその言葉が出るなんて、うれしい。


思わずにやけそうになってしまって、それを手で隠す。


私はレンに手紙を見せた。


「どう?分かる?」


数分経ってレンに聞くと、深刻そうな顔をした。


「ん、分かったけど…かなりまずい状況かも」


(さすがね、もう分かったなんて)


でも、まずい状況っていうのはどういう事だろう。


瑠璃華達に、相当な出来事が起こったのだろうか。


「…この手紙には誤字が5箇所あるでしょ?最後の5時前、つまり誤字前。間違っている文字の前を読んでみてよ」


レンに言われた通りに、丁寧に誤字前の文字を確認していく。


「“た”“す”“け”“て”?助けて?!これって…」


それぞれの文の誤字前の文字を取ると、なんと「助けて」という風になった。


瑠璃華は私に助けを求めていたんだ。


やはり何かあったのだ。


「うん、何かあったんだろうね。それに、瑠璃華達はきっとサク兄さんの監視下にいるんだろうね。じゃないとこんな変な手紙は書かないよ」


サクが何かをしたってこと?


あの人は、昔から何を考えているのか分からない部分が多々あった。


何かしたりはしないと思っていたけど…そんな事はなかったようだ。


「今から僕が言うのは推測だけど…聞く?」


今は、瑠璃華達の方の現状を知るのが最優先。


私にそれを断ると言う選択肢はなかった。


「ええ、聞かせてちょうだい」


「…分かった。華恋、覚悟を決めて」


レンが複雑な顔をして、私に言った。
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