裏社会の私と表社会の貴方との境界線

情報の入手先

ゆらゆらと動くレラのしっぽの炎が、私の不安のようにゆれる。
私はゴクっと不安を飲み込んだ。
「何か…あったの?」
そう聞くと、レラは目をふせて返事をした。
『私達は特に。レイ様より伝言をもらいました。“一度天界か魔界へ来て私の話を聞いてほしいです”とのことです』
「…それって、ここで聞くことはできないの?」
私はそう聞くと、レラはクククと笑った。
何が面白かったのだろう。
『できますよ。レイ様の読み通りでしたね』
「……ああ、なるほど。レイは私がここから離れないことをわかってたってわけね」
『そう言うことです』
レラのレイに対する忠誠心は本物だ。
何でも、レイは“面白い”らしい。
私には無表情で人形みたいな彼女には、恐怖しか感じられないのだけど。
『手紙と魔道具をあずかっております。それでは、私は魔界へ戻ります』
「ええ、ありがとう」
レラは羽を腕のように動かし、胸に当てて礼をした。
それから、またしっぽをゆらしながら飛んでいった。
少し抜けた時間が長かったかもしれない。
急いで戻らなければ。
そう思いながら、私はかけ足で部屋に戻った。
ーーーーー
「ごめんなさい!遅かったわよね」
みんなの視線が一斉に私に集まる。
どうやら、みんなで仲良く話をしていたみたいだ。
「全然大丈夫だよ〜。それで?用って何だったの〜?」
千智が私にそう聞いた。
「ちょっと呼び出しをされてね。手紙と道具を受け取っていたわ」
「へー」
自分から聞いてきたくせに、あまり興味がなさそう。
別にいいけれどね。
「呼び出しって誰に?」
「ん〜瑠璃華も知らない人。瑠璃華は黄泉神の中で会ったのって、黄泉様だけでしょ?」
「うん!そうだよ〜」
「じゃあ知らないわね。ま、誰でもいいでしょ」
「…うん、そうだね」
少し間をあけてにっこり笑った瑠璃華。
気持ちを隠す時に瑠璃華はこの反応をする。
仕方ない、後で教えてあげよう。
ちょっとかわいそうだもの。
「それよりみんな、少し聞いてほしい話ができたわ。友人から話してもらうから、電話をしてもいいかしら?」
「え、ほんとに友達…?」
「そうよ」
いきなりのことで警戒しているのか、みんな黙り込んでしまった。
でも、そうよね。
誰かもわからない人と話すのは嫌よね。
警戒心が解ければいいんだけど…。
「僕はいいと思うよ。その華恋の友人の話を聞くべきだと思う」
「んん…紺凪が言うなら…」
千智は紺凪の意見に従うって感じ。
まあ、残りの人は私から後で内容を伝えればいいかしら。
「香宮夜のその根拠は?」
「きっと華恋の友人は裏社会の人間だと思うんだ。それと、今はそこの2人を助けるのが最優先だろう?華恋はそういう順序がしっかりしてる。だったら、それに関する情報のはず。ね、華恋」
いきなりのツキからの質問に、冷静に答えた紺凪。
まあ、大体紺凪の言う通り。
「多分ね。私も詳細は聞かされていないの。友人は情報屋だから、彼女の応援をお願いできるかもしれないわ」
私達の魂は繋がっていて、互いの状況をいつでも確認できる。
私へなぜか忠誠を誓っているレイは情報屋の立場を活かして、いろいろな情報を集めてくれる。
だからきっと期待できるはず。
「分かった。ただし、くだらない話だったら電話切ってね」
「俺も同意見ー」
「ツキにユウも…。ありがとう」
にこっと微笑んでから、私はレラにもらった魔道具でレイのいる魔界へと繋いだ。
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