裏社会の私と表社会の貴方との境界線
ゆらゆらと動くレラのしっぽの炎が、私の不安のようにゆれる。


私はゴクっと不安を飲み込んだ。


「何か…あったの?」


そう聞くと、レラは目をふせて返事をした。


『レイ様より伝言をもらいました。“一度天界か魔界へ来て私の話を聞いてほしいです”とのことです』


「…それって、ここで聞くことはできないの?」


私はそう聞くと、レラはクククと笑った。


何が面白かったのだろう。


『できますよ。レイ様の読み通りでしたね』


「……ああ、なるほど。レイは私がここから離れないことをわかってたってわけね」


『そう言うことです』


レラのレイに対する忠誠心は本物だ。


何でも、レイは“面白い”らしい。


私には無表情で人形みたいな彼女には、恐怖しか感じられないのだけど。


『手紙と魔道具をあずかっております。この魔道具で通信してください。それでは、私は魔界へ戻ります』


「ええ、ありがとう」


レラは羽を腕のように動かし、胸に当てて礼をした。


それから、またしっぽをゆらしながら飛んでいった。


少し抜けた時間が長かったかもしれない。


急いで戻らなければ。


そう思いながら、私はかけ足で部屋に戻った。


***


「ごめんなさい!遅かったわよね」


みんなの視線が一斉に私に集まる。


どうやら、みんなで仲良く話をしていたみたいだ。


「全然大丈夫だよ〜。それで?用って何だったの〜?」


千智が私にそう聞いた。


「ちょっと呼び出しをされてね。手紙と道具を受け取っていたわ」


「へー」


自分から聞いてきたくせに、あまり興味がなさそう?


別にいいけれどね。


「呼び出しって誰に?」


「ん〜瑠璃華も知らない人。瑠璃華は黄泉神の中で会ったのって、黄泉様だけでしょ?」


「うん!そうだよ〜」


「じゃあ知らないわね。ま、誰でもいいでしょ」


「…うん、そうだね」


少し間をあけてにっこり笑った瑠璃華。


気持ちを隠す時に瑠璃華はこの反応をする。


仕方ない、後で教えてあげよう。


ちょっとかわいそうだもの。


「それよりみんな、少し聞いてほしい話ができたわ。友人から話してもらうから、電話をしてもいいかしら?」


「え、それってほんとに友達…?」


「そうよ」


いきなりのことで警戒しているのか、みんな黙り込んでしまった。


でも、そうよね。


誰かもわからない人と話すのは嫌よね。


少しでも警戒心が解ければいいんだけど…。


そう思っていると、紺凪が言った。


「僕はいいと思うよ。その華恋の友人の話を聞くべきだと思う」


「んん…紺凪が言うなら…」


千智は紺凪の意見に従うって感じ。


「香宮夜のその根拠は?」


「きっと華恋の友人は裏社会の人間だと思うんだ。それと、今はそこのふたりを助けるのが最優先だろう?華恋はそういう順序がしっかりしてる。だったら、それに関する情報のはず。ね、華恋」


いきなりのツキからの質問に、冷静に答えた紺凪。


まあ、大体紺凪の言う通り。


「多分ね。私も詳細は聞かされていないの。でも友人は情報屋だから、彼女の応援をお願いできるかもしれないわ」


私達の魂は繋がっていて、互いの状況をいつでも確認できる。


私へなぜか忠誠を誓っているレイは、情報屋の立場を活かしていろいろな情報を集めてくれる。


だからきっと期待できるはず。


「わかった。ただし、くだらない話だったら電話切ってね」


「俺も同意見ー」


「ツキにユウも…、ありがとう」


にこっと微笑んでから、私はレラにもらった魔道具でレイのいる魔界へと繋いだ。
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