裏社会の私と表社会の貴方との境界線

真聖家の呪いと対価

真聖家のことを調べて2日、レイにも手を借りてようやく情報が集まった。


ハッキングをしてみても情報はなく、全て削除された形跡があったので掘り出して情報処理の前に見つけることができた。


ここまで苦労するのは初めてかも。


「ツキ、真聖家についての情報をつかんだわ。全員を集めてちょうだい」


『わかった。すぐに集める』


ツキに電話をしてみんなに集まるよう連絡してもらう。


私はその間、データを自分のパソコンにうつす。


お菓子を食べて一息つきながら、みんなを待った。


***


「それで?どんな重要情報が隠されてたわけ?」


集まるなりすぐにそう聞かれる。


「真聖家はとある“呪い”を受け継ぐ家系だったの。でも、ただ呪いを受けるだけじゃなくて対価があって…」


「呪いって聞くといいイメージがないよね」


紺凪の言う通りで、呪いはいいものではないのはたしかだ。


けれど、この真聖家の人達は呪いを自分のものにしていた。


「呪いが強すぎるせいで死んでしまう人もいたみたいなの。今生き残っているのは長男の乃亜、長女の琉愛、次男の琉叶という3人」


「乃亜っていうのは、俺らが探してるやつと同一人物〜?」


「ええ、そうよ」


名前の漢字は知らなかったのよね。


きっとサクでさえも、真聖家の情報を手に入れるのに苦労したということだろう。


「呪いっていうのは?まさか斗亜も呪いを受けてるってこと!?」


「千智落ち着いて。話を聞いて」


親友を心配する気持ちは分かる。


けど、案外真白の呪いは弱いものだった。


「乃亜の呪いは“過度な情報量”らしいの。対価は不死」


「いやいや、それ人間としておかしいだろ。対価だとしてもすごすぎねぇ?」


不死と聞くとずっと生きるイメージがあるのだろうが、ここでいう不死は少し違うと思う。


それは、真聖家の血縁に関係がある。


「真聖家は代々神の血を継ぐ子が生まれるらしいの。その血に耐えられず、呪いとして苦痛を受けるけど神から対価をもらっているって」


「神…?うぇ!?それってあの黄泉様のお気に入り一家って噂の!?」


お気に入り…ああ、たしかにそんなことを言っていたような気もする。


瑠璃華の言う通り黄泉様が気に入った一家に血を分けているって噂が、天界では広まっている。


黄泉様は人間と関わりが強いものの、そこまでするわけがないって言われてるから信憑性はなかったんだけど。


「不死っていうのは傷の治りがはやかったりするだけみたい。不老ではないから、けっきょくは寿命で死んでしまうんだって」


「えと、過度な情報量っていうのは…?」


やっと羅華も話に入ってきた。


ちなみに、羅華にもレイから説明を頼んだから全部知ってる。


3つ子そろって天界の人…ってことはなかったけどね。


「なんでも、その人の秘密とかが見るだけでわかるらしいの」


「…それって別に呪いじゃなくね?本人からしたら楽じゃねーか」


「それは…どうでしょうね。何でもかんでもわかるって、私だったら気味が悪いって思うけど」


決して楽なんてことはないだろう。


それに対して、本人しかわからない苦痛があるのだと思う。


「ほ、他の人の呪いは?」


なんとか話題を違うものにしようとした瑠璃華にのっかって、真白のことから話題をそらす。


「琉愛は一度飛ばして、琉叶は“傷つきやすい体”の対価に“毒の耐性”を持っているみたい。どんな毒も効かないんだって」


「でも、傷つきやすい体って?」


「多少ぶつかっただけでも骨が折れたりしちゃうみたい」


「うげ。なんだそれ、最悪じゃねーか」


本当にその通り。


こんな呪いを持っていたら、外に出る以前に部屋でもケガをしてしまいそうね。


「でも、斗亜と琉叶は呪いを操作できるようになったみたい。だから、今のところは対価だけもらってるって。まあ、呪いが自分を救ってくれることがあるでしょうけどね」


実際私も女神であることが救いになったこともあるし。


それもひとつの才能みたいな。


「それで?流れ的に、琉愛って子が1番呪いが強いんでしょ?」


さすが紺凪はするどいわね。


後回しにした理由がわかっているみたい。


そう、私もこんなことは想像もしたくない。


妹がこんな呪いを持っているなんて、受け入れられない。


そんなものだった。
< 36 / 55 >

この作品をシェア

pagetop