裏社会の私と表社会の貴方との境界線
「あはは〜、ごめんね何も言ってなくて。その時はまだ羅華くんが敵になる可能性もあったし、言っちゃダメかなって」


「…もう!言ってくれればよかったじゃん…。親友でしょ?レオの味方になるに決まってるよ」


そう、羅華とレオが親友というのは知っていた。


よくメア家に行くのは、部屋から出ないレオに会いに行くためだった。


基本的に羅華以外は部屋にもいれてくれなかったから、私もあまり話をしたことがない。


でもそれは、レオが真聖家の味方で、呪いの制御ができていなかったからだと考えれば。


——辻褄(つじつま)が合う。


「羅華以外を部屋に入れなかったのは、真聖家の子だということを知られないため。部屋から出なかったのは、呪いが関係してるってことね」


「その通り。僕は呪いでケガをすれば血が止まらないから危険だしね」


やっぱりそうだった。


「それで、僕らの状況だったね。真聖家とメア家が戦争してるのは知ってるよね?」


「もちろん知ってるわ」


「このまま突っ込んでいったって武力派がそろってるメア家には負けちゃう。だから、弱点とかを調べてたんだけど——」


「そこで俺らの状況を知ったってわけか」


ユウの言葉に、レオが頷く。


「君達と組めば勝機が生まれる。しかも、華恋ちゃんは女神のトップなんでしょ?」


「あら、そこまで知ってるのね」


黄泉様が情報提供をするわけがない。


とすると、やはりレイはそっち側だったのかな。


「メア家を倒したいという目的は一緒でしょ?だから、僕達と手を組んでくれることを期待した」


その言葉に私達は黙り込んだ。


たしかに私たちの目的は一致している。


でも、だからといって「じゃあ手を組みましょう」と言うほど騙されやすくはない。


信頼するにあたる何かが必要なのだ。


今はそれがない。


「じゃあ、この質問に答えてくれたらいいわよ。嘘をつかないで言ってちょうだい真白。先日言っていた“奴ら”っていうのは何のこと?」


「………それは、聞いたら君達を危険にさらすことになる」


それは答えられないととっていいのかしら。


でも、それは違うわよね?


その答えは許さないわ。


「仲間というのは、信頼していれば言えるものなのよ。危険になろうがなるまいが、信じて共に戦う。私はそれを仲間と呼ぶ。貴方が私達を信頼しないなら、私達も信頼できないわ」


真白がどれだけ優しい性格かは知っているつもり。


私達を巻き込みたくないというのが、彼の本心なんだろう。


でも、それを私は信頼していないと見る。


私と手を組むというのはそういうこと。


上から目線で申し訳ないけどね。


「ごめん、そうだよな。話すよ」


真白の表情は、さっきよりもかっこいいものだった。


「奴らっていうのは、僕達が契約をしている神のこと。僕は情報の神エニグマと、琉愛は黄泉と、琉叶は毒の神オーブと契約をしてる。12歳になると、神と強い契約を結ぶんだ。そして、琉愛はまだ第二の契約を交わしていない。だから、呪いも扱えない」


「ちょっと待って。黄泉様と契約してるの?じゃあ、契約内容って——」


「1番大切なものと引き換えに、どんな願いも叶えてくれるらしい」


ドクンと大きく心臓が鳴った。


黄泉様はすごいお方だけど、それ以上に人間で遊ぶ癖がひどい方だ。


大切な人を奪われたり、自分の命を奪われたりする。


その契約は知っている。


「私はね、ずっと黄泉に監視されてるんだよ。契約を交わすまでずっと」


それは、まるで地獄。


彼女の瞳に光がないように見えたのは、強すぎる呪いのせいなんだと悟った。
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