鬱乙女ゲーム世界に転生したので漫才コンビ「悪役令嬢」で婚約解消いたします!
「僕はカツラまでかぶるんだよ? 女の子という印象になっちゃうじゃないか。たぶん一生結婚とかできないよ。ロゼリアだけ自由に楽しむなんて、ずるいんだからね!」

 言ってることは威勢がいいものの、泣きそうだ。罪悪感に苛まれながら話してるような……よしよししたくなってきた。

 私になる前のロゼリアと結ばれてほしかったな。別人の私となんて……ね。でも、他の誰にもこんなに可愛い子をあげたくないのも事実。

「確かに、私のせいで結婚できなかったら可哀想ね」
「う……いや、そこは責任を感じなくてもいいんだけど……」
「この道に誘った責任をとって、そうね……結婚適齢期を過ぎてもあなたに素敵な女の子が現れなければ、私が結婚してあげるわ」
「!?」

 それまで五年以上はある。私になってしまったロゼリアを好きでい続けてくれるのなら――。

「あ、あとで……念書にして……」

 これ、結構執着してない? 今まで私の言うことを拒否したことがないのってそのせい? そういえば男なのに女のカツラをかぶること自体、普通は相当抵抗があるわよね。全部、私を好きだったからか。

 それならもう少し口説くなりなんなりとかあってもよかったんじゃない? 既に私への口説き文句の回数はフランシス様のが上よ?

 ……女の子のような見た目というのも、コンプレックスだったのかな。
  
「わかったわよ」
「僕、頑張るよ。完璧な『悪役令嬢』になる。女の子にしか見えなくて、他の誰とも結婚できないような『悪役令嬢』らしい僕になるよ」
「そ、そう……」

 しばらくは、このままでいよう。
 でも――。

「出会いくらい考えてあげるわ。どんな女の子が好きなの?」

 あ、しまった。ショックを受けた顔になっちゃったわ。それはそうか。好きな女の子に出会いを推奨されるのはキツイか。好みの女の子のタイプが知りたくて考えなかった。具体的には私のどこが好きなのかをもう少し知りたい。

「……悪役令嬢かな」

 ネタに逃げたわね。

「そう。婚約破棄されて突然現れたイケメンに求婚される人ってことね」
「……フランシス様に求婚されたら、どうするの?」

 不安そう。
 
 気づかせようとしているのか。
 自信がないだけなのか。

「その前に、違うイケメンに求婚されるかもしれないじゃない」
「……ロゼリア、綺麗だしね……」
「あんたは男やろがいってね!」
「!?!?!?」

 さっきの漫才のオチだ。突然現れるイケメンの男はあんたでしょと暗に匂わせてみる。

 もう少し時間はほしい。ロゼリアでなかった私がまだ彼の気持ちに応じてはいけない気がする。……でも、こんなに可愛い男の子に求婚されちゃったら、断れるわけがない。

 いつか、そんな日が来たらいいなと思う。

 ――このあと、もっともマシなエンドを選ぶしかないと諦めていた私に希望を与えてくれましたと、自分も転生者だと言うリリナまで弟子入り志願してきたり、フランシス様が茶々を入れきたりで色々と面倒くさくなり――私たちの婚姻が早まるのは、もう少し先の話だ。

〈完〉
 
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