離婚を前提にお付き合いしてください ~私を溺愛するハイスぺ夫は偽りの愛妻家でした~
 本当に上手く転がされているものだなと眺めていれば、手嶋がまた小声で話しかけてくる。

「相馬が言ってる理想の妻ってやつは、宮下ちゃんみたいな人のことだよな」

 否定できないその言葉にドキリとする。

 ああいうタイプは自分の求める条件が満たされるなら、偽りの愛であっても問題なく受け入れるだろう。理想の環境を共有して、上手く作り上げることができるはずだ。きっと皆が羨む家庭を築けるに違いない。間違いなく理想の妻を演じてくれることだろう。

 それでも彼女のような人をその選択肢として考えたことはない。唯一その対象になったのが美鈴だった。

「美鈴ちゃんは強くて真っ直ぐだから、どう考えてもお前の理想には合わない」

 美鈴との関係が壊れた今、手嶋の言葉は正しいのだろう。

 強くて真っ直ぐな美鈴だから理想の妻になり得ると思っていたがそうではなかった。それは大きな間違いだったのだ。
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