離婚を前提にお付き合いしてください ~私を溺愛するハイスぺ夫は偽りの愛妻家でした~
「えっ!?」

 千博の腕にすっぽりと包み込まれた己の体を認識し、思わず驚きの声を上げる。

 まずいと思ってすぐに口を押えるが、そんなことをしなくとも千博が起きる気配はない。美鈴をしっかりと抱き込んで眠っている。

 美鈴は理解できない状況に一人でおろおろする。

 昨夜、眠りについたときには、少しも体は触れていなかったはずだ。二人とも仰向けになっていて、こんなふうに向き合ってはいなかった。それがどうしてこうなったのだろうか。

 美鈴はパニックに陥りそうになりながらも、千博の腕の中から離れることができない。

 千博がしっかり抱きしめているせいではなく、美鈴が離れたくないからだ。

 今の関係でそんなことを思うのは間違っていると思うのに、勝手に胸が高鳴る。甘く疼いてしかたない。

 離れなければという気持ちと、離れたくないという気持ちがせめぎ合う。そうして一人で葛藤しているうちに、とうとう千博も目覚めてしまった。
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