離婚を前提にお付き合いしてください ~私を溺愛するハイスぺ夫は偽りの愛妻家でした~
「でもね、相馬さんモテるから、勘違いした女が言い寄っただけだろうと思ったのよ。相馬さんは何も言ってなかったしね。ただ……相馬さんの表情がなんだか険しくて、少し心配になったから――」

 そこまで聞いて洋子の真意に気づいた。洋子が今日美鈴を誘ってくれたのも、なかなか千博の話題を出さなかったのも、それが理由だったのだと。

「だから、今日、誘ってくれたんだ」
「うん……でも、本当に離婚するとは思ってなかった。絶対その女の妄想だろうって。いや、妄想の可能性はもちろんまだあるけど。でも、離婚って聞いて、その会話が本当だったのかと思ってしまって……ごめん、こんな話できれば聞かせたくなかったのに」

 後悔の表情を浮かべる洋子に、美鈴は胸の痛みを押し殺して微笑みかける。洋子が気に病む必要はまったくないからと。

 確かに今は悲しくてたまらないが、やはり聞いておいてよかったと思う。きっと千博からは言えなかっただろうから、これでよかったのだ。おかげでここ最近の悩みが一つ解消される。

 美鈴は少しでも洋子の心が軽くなってくれればと、言える範囲の事実を伝える。
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