離婚を前提にお付き合いしてください ~私を溺愛するハイスぺ夫は偽りの愛妻家でした~
 美鈴は感謝の気持ちで満たされながらも、洋子から聞いた悲しい事実に心の中で涙を流していた。

 二人はこれから別の道を進むとわかっていても、千博がその先の道をほかの誰かと歩むのだと思うとひどく胸が痛い。張り裂けてしまいそうなほどに。

 これほどまでに胸が痛むのは、やはり今も千博を愛しているからなのだろうか。

 そうは思っても、まだ確信は持てない。あの頃の千博との愛があまりにも濃すぎて、今がわからないのだ。

 ただ一つ言えることは、今の美鈴の気持ちの如何によらず、未来は変わらないということだ。

 美鈴は愛していた人を失い、千博はほかの誰かと家庭を築く。そこに本物の愛があるかどうかはわからないが、それはもはや美鈴が関与すべきことではない。それは美鈴のいない物語なのだから。
< 162 / 216 >

この作品をシェア

pagetop