離婚を前提にお付き合いしてください ~私を溺愛するハイスぺ夫は偽りの愛妻家でした~
***
多くの人が行き交う空港内。そこには日本人の姿だけでなく、海外の人の姿もたくさん見受けられる。
大きなスーツケースを持った人たちがそこかしこにいて、美鈴はその合間を縫うようにして歩く。
周囲に目を配らせ、目的の人を探していると、一人様子のおかしい人がいることに気づいた。白人女性が慌てた様子で周囲をきょろきょろと見回している。
切羽詰まった様子から何かがあったのだと察し、美鈴はすぐにその人のもとへと駆けつけた。
「How can I help you?」
その言葉は別の声ときれいに重なる。美鈴のよく知る少し低くてやわらかな声と。
美鈴も相手も驚いて顔を見合わせるが、子供がいなくなったと訴える女性の声を聞き、すぐに意識をそちらへと移した。
結局、美鈴たちが何かをする間もなく、件の迷子は自ら戻って来たが、母親には随分と感謝されてしまった。おそらく知らない土地で子供とはぐれてしまい、大きな不安を抱えていたのだろう。声をかけたことで、それを少しでも和らげられていたのなら、本当によかったと思う。
去り行く親子に美鈴たちは手を振り、少しの間見送る。二人の姿が小さくなったところで、美鈴は迷子捜索の仲間ににこっと微笑みかけた。
「あのね、おすすめのドライカレーのお店がこの近くにあるんだけど、これから一緒にどう?」
「はは、ぜひ」
「それじゃあ、行きましょう」
美鈴はすぐに歩き出そうとするものの、手を掴まれてその場にとどめられる。
「待って。その前に。美鈴、おかえり」
「ただいま、千博さん」
掴まれた手は離れることなく、そのまましっかりと繋がれる。二人は手を繋いだまま恋人の距離で寄り添い、再会の喜びを全身に溢れさせながら、並んで歩き出した。
~完~
多くの人が行き交う空港内。そこには日本人の姿だけでなく、海外の人の姿もたくさん見受けられる。
大きなスーツケースを持った人たちがそこかしこにいて、美鈴はその合間を縫うようにして歩く。
周囲に目を配らせ、目的の人を探していると、一人様子のおかしい人がいることに気づいた。白人女性が慌てた様子で周囲をきょろきょろと見回している。
切羽詰まった様子から何かがあったのだと察し、美鈴はすぐにその人のもとへと駆けつけた。
「How can I help you?」
その言葉は別の声ときれいに重なる。美鈴のよく知る少し低くてやわらかな声と。
美鈴も相手も驚いて顔を見合わせるが、子供がいなくなったと訴える女性の声を聞き、すぐに意識をそちらへと移した。
結局、美鈴たちが何かをする間もなく、件の迷子は自ら戻って来たが、母親には随分と感謝されてしまった。おそらく知らない土地で子供とはぐれてしまい、大きな不安を抱えていたのだろう。声をかけたことで、それを少しでも和らげられていたのなら、本当によかったと思う。
去り行く親子に美鈴たちは手を振り、少しの間見送る。二人の姿が小さくなったところで、美鈴は迷子捜索の仲間ににこっと微笑みかけた。
「あのね、おすすめのドライカレーのお店がこの近くにあるんだけど、これから一緒にどう?」
「はは、ぜひ」
「それじゃあ、行きましょう」
美鈴はすぐに歩き出そうとするものの、手を掴まれてその場にとどめられる。
「待って。その前に。美鈴、おかえり」
「ただいま、千博さん」
掴まれた手は離れることなく、そのまましっかりと繋がれる。二人は手を繋いだまま恋人の距離で寄り添い、再会の喜びを全身に溢れさせながら、並んで歩き出した。
~完~


