離婚を前提にお付き合いしてください ~私を溺愛するハイスぺ夫は偽りの愛妻家でした~
 感謝の思いを込めて微笑むも、千博は眉尻を下げて、つらそうな顔をする。

「……たくさん傷つけもしたけどね」

 そう述べる千博の方が傷ついて見えた。もしかしたら千博は演じることで自分自身も傷つけていたのかもしれない。

 美鈴も千博の言葉で傷ついたことは確かだが、その傷を負ってもなお、千博が好きなのだ。この傷とは二人で向き合っていくしかない。

 美鈴は体ごと千博の方へ向けて、ほんの少しだけ千博の方へ身を寄せる。

「その傷は千博さんが癒して?」

 千博も美鈴の方へ体を向け、真剣なまなざしで美鈴を見つめてくる。

「一生をかけてでも」

 そっと片手を握られ、手の甲に口づけられる。忠誠を誓うかのようなキスに、千博の言葉がただの比喩ではなく、本気の言葉なのだと気づかされる。

 美鈴はそんな千博の思いを黙って受け入れた。

 千博となら、何があっても一生を共にしたいと、そう思えるから。
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