離婚を前提にお付き合いしてください ~私を溺愛するハイスぺ夫は偽りの愛妻家でした~
「ねえ、千博さん。千博さんの私への愛は偽物なの? 本当は愛してない?」

 わざと回りくどい訊き方はせず、直球で尋ねた。

 下手にオブラートに包んで、訊きたいことが伝わらなければ意味がないし、直接的な言葉の方が千博の真意を探るのには適していると思った。

 はっきりと問いかけを口にした美鈴は、どうか勘違いであってほしいと願いながらも、注意深く千博の様子を窺う。質問直後の千博の反応が最も重要だ。そこを見逃してはならない。

 もしも本当に千博が偽りの姿を見せているのだとしたら、きっと簡単には真の姿を見せてくれないだろう。長い間美鈴に悟られることなく演じてきたのだ。それがそうそう崩れるわけがない。

 だからこそ直球の質問をして、不意打ちを狙った。千博の素を引き出すために。きっとこの質問に対する最初の反応こそが千博の真実だ。

 そうして千博の出方を窺っていれば、彼は軽く目を見張ってから、こちらを見つめてくる。美鈴の真意を探るようにとても鋭く。
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