離婚を前提にお付き合いしてください ~私を溺愛するハイスぺ夫は偽りの愛妻家でした~
「最低ね……私が……私がどれだけ苦しかったとっ……自分の聞き間違いなんじゃないか、何か理由があるんじゃないかって、何度も言い聞かせようとした! 千博さんがくれる愛が偽物なわけないって。だって、私はあなたを……千博さんを心から愛して――」

 本当は『愛しているから』と言いたい。言いたかった。けれど、今の千博に対して、それを言うことはできない。美鈴の愛するあの千博はもうここにはいないのだから。

 ギリギリで続く言葉を飲み込み、過去の言葉として言い換える。

「愛していたから……だから疑いたくなんてなかった。偽りだなんて信じたくなかった……それなのに、どうして……」

 詰めるように千博へ視線で訴えかければ、千博は少しの温もりも感じられない笑みを浮かべ、当たり前のようにあの日と同じことを口にする。

「全部聞いたんだろう? 君が言った通り、君が理想の妻だからだよ。僕の理想の家庭を築くのに君ほどの適任はいなかった。だから、君に愛を与えた」
「……偽物の?」

 訊き返すまでもないとわかっていながら、そうせずにはいられなかった。千博の言うそれは到底愛と呼べるようなものではないのだから。
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