離婚を前提にお付き合いしてください ~私を溺愛するハイスぺ夫は偽りの愛妻家でした~
 千博はすでに開き直っているのか、余裕の表情で返してくる。

「作り上げたという意味でならね。でも、美鈴はそれで幸せを得ていたはずだ。だったら何も問題はないだろう? 君も僕も理想の環境を手に入れていたんだから」
「っ……」

 グッと唇を噛みしめる。

 今の言葉がどれほど美鈴を傷つけるものか、千博はわかっているのだろうか。二人が愛し合ってきたこれまでの時間をも否定するような言葉だと理解しているのだろうか。

 美鈴からの愛にこの人は何も感じなかったのだろう。でなければ、こんなことを言えるわけがない。問題がないなどと言えるわけがないのだ。

 美鈴はあまりの悲しさにもはや言葉を紡ぐこともできない。浮かびそうになる涙を堪えて、千博を見つめ返すのがやっと。

 そうして必死に耐えていれば、千博はさらに美鈴を傷つけることを言い放つ。
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