離婚を前提にお付き合いしてください ~私を溺愛するハイスぺ夫は偽りの愛妻家でした~
「君が理想の妻でいてくれるなら、これからも最大限の愛をあげるよ。君も今まで通りそれを受け取ればいい。どうかな。悪い話じゃないだろう? 君はこれまでと同じ幸せを得られるんだから」

 美鈴を軽んじ、馬鹿にしているとしか思えない提案に再び怒りが湧く。わなわなと震える唇で、今度は強く言い返す。

「そんなわけ……そんなわけないっ! 同じなわけないでしょう……偽りの愛なんて欲しくない……」

 表面上の愛など求めていない。そんな虚しいもの、欲しいわけがない。理屈などではなく、心から求め合うがゆえに、一緒にいたいと思うのだ。

 合理的な愛を完全否定するつもりはないが、少なくとも美鈴はそのために結婚したいとは思わない。そんなことをしてもただ寂しさが募るだけだろう。それならば一人の方がマシだ。

 美鈴の心からの訴えに、千博は深くため息をついている。
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