離婚を前提にお付き合いしてください ~私を溺愛するハイスぺ夫は偽りの愛妻家でした~
「で、どうする? 今まで通りが嫌だと言うなら、離婚でもするか?」
「……」

 初めてのまともな提案に、美鈴は答えを返そうと口を開くが言葉が出てこない。

 偽りと確信した段階でその道しかないとは思っていたが、自ら口にするのはとても難しい。少なからず千博を信じていたからこそ、二人の縁を切ってしまうその答えをすぐに言うことはできなかった。

 そうして美鈴が何も答えられないでいると千博は突然何かに納得したように頷き出す。

「あー、なるほど。そういうことか。慰謝料の話がしたいんだな」
「っ!? 違う! そんなもの欲しいと思ってない……」

 ドライすぎる話に強く否定の言葉を返す。

 愛を終わらせるための話し合いとはいえ、心のないやり取りはしたくない。愛のない千博にそれを求めても無駄かもしれないが、少なくとも自分は彼と同じところには落ちたくない。

 事務的な話し合いをするのではなく、二人の終局へ向けて対話がしたいのだ。
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