離婚を前提にお付き合いしてください ~私を溺愛するハイスぺ夫は偽りの愛妻家でした~
「つまり、愛している振りをしていたのがばれたってことか?」

 つまりも何もそれ以外にばれることなどない。それが最大で唯一の隠し事なのだから。

「だからそう言っている」
「お前……それならここにいる場合じゃないだろ。早く帰って美鈴ちゃんと話せ」

 手嶋は千博の腕を掴み、無理やり立たせようとしてくる。

「もう話した。話し合いは終わった。だからここにいるんだよ」

 これ以上美鈴と話せることはない。美鈴が今の関係を拒む以上、話し合えることはもう何もない。結論はすでに出た。

 けれど、千博の中には自分でも上手く言い表せないモヤモヤがあって、それを解消するためにここに来たのだ。

 このモヤつきの正体は何なのか。自分は何に苛立っているのか。第三者と話をすることで状況を整理したかった。察しのいい手嶋と話をしてすっきりさせたかった。
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