離婚を前提にお付き合いしてください ~私を溺愛するハイスぺ夫は偽りの愛妻家でした~
 千博は手嶋に対し、自分の身に起こったことを端的に告げる。

「ばれた」
「何が?」

 察しがいいわりにそこは訊き返すのかと軽くため息が漏れる。

「はあ……だから、美鈴に全部ばれたんだ」
「……」

 手嶋になら十分伝わるだろう言い方をしたのに反応がない。これでも伝わらなかったかとさらに言葉を補おうとすれば、手嶋はなぜか一拍遅れでとんでもなく大きなリアクションをする。

「ええ!?」

 あまりの大声に咄嗟に耳を塞ぐ。いくらなんでも声が大きすぎると非難の目を向けるが、手嶋はそんな千博の様子など気にも留めず、グイっと詰め寄ってくる。
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