離婚を前提にお付き合いしてください ~私を溺愛するハイスぺ夫は偽りの愛妻家でした~
「……ただいま」

 自分の方が遅く帰ったことが申し訳なくて自然と声が小さくなる。千博はその小さな声で美鈴が帰ったことに気づいたようで、こちらを振り返る。

「あー、おかえり」
「うん。遅くなってごめんね」

 時刻は二十一時。最近の千博の帰宅はいつも二十二時を超えていたから油断した。

「いや。僕も今帰って来たところだから」

 この時間だとしても最近の千博からすると十分に早い帰宅だ。まさか自分の方が遅くなるとは思わず、まだ夕飯の準備もできていない。

 帰宅の連絡は入れてくれているはずなのに、携帯を鞄の中にしまい込んでいて気づかなかった。それに気づいていれば、まだ何か対応できていたかもしれないのにと思う。

「そうだったんだ。ごめんね、連絡見てなくて。ご飯まだ用意できてないの。すぐに作るから待ってて」

 美鈴は急いで夕飯の支度にかかろうとするが、すぐに千博に止められる。
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