離婚を前提にお付き合いしてください ~私を溺愛するハイスぺ夫は偽りの愛妻家でした~
「いや、いいよ。作らなくて大丈夫」
「え? あ、もしかして食べてきたの?」

 珍しいなとは思いつつも、たまにはそういうこともあるかと確認すれば、答えは予想とは違うものだった。

「いや、食べてはないよ。でも、今から作るならデリバリーでも頼んだ方が楽だろ」
「え、デリバリー……? でも……」

 その方が早く食べられるというならそれでもいいかもしれないとは思うが、ここで甘えていいのか躊躇する。千博はあまり好んでデリバリーを利用しないし、偽りがなくなった今でも美鈴の料理はなんだかんだで気に入ってくれている。

 やはり自分が作った方がいいのではないかという考えが抜けず悩んでいれば、千博は美鈴の様子を別の意味で捉えたらしい。

「デリバリーが嫌なら外食にするか。まだ営業してるところもあるだろ」

 千博はそう言ってから上着を羽織り出す。

「えっ!?」

 外に出る準備を始めた千博に美鈴は慌てる。今の二人の関係で一緒に出かけるつもりなのだろうか。千博の考えがわからない。

 けれど、このまま何も言わないでいたら、本当に二人で外食をすることになってしまう。それは避けたいと美鈴は急いで別の案を口にする。
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