離婚を前提にお付き合いしてください ~私を溺愛するハイスぺ夫は偽りの愛妻家でした~
「さて、今日はどうする? 時間あるし、映画でも観ようか」

 千博の提案に美鈴は軽く首を横に振る。

「ううん。今日はゆっくりおしゃべりでもしたい気分かな」

 床に就くまでのこの時間は、その時々で過ごし方が変わる二人の時間だ。一緒に過ごすことだけは決まっているが、何をして過ごすかは決まっていない。二人の気分で決めている。

 今日はもう何も余計な情報は入れずに千博とゆっくりしていたくて、美鈴はそんな提案をした。千博はそれを快く受け入れてくれる。

「いいよ。それじゃあ、美鈴の話を聞かせて」

 その言葉を合図に、今日あった出来事をぽつりぽつりと話し始める。それはたわいもないことばかりでたいして面白みもない話だが、千博は楽しそうに聞いてくれる。そして、美鈴の話が止まれば、今度は千博が話し出す。

 この何気ない会話が美鈴はとても好きだ。声を交わし合うのがとても気持ちいい。身を寄せ合っていると声の振動が伝わるからなおのこと心地いい。いつまでも浸っていたくなる。
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