はるけき きみに ー 彼方より -
「どうしたというのだ、これほど降って湧いたように。いや、おおかた娘の家出であろうが。家庭の困りごとを持ち込んでくるな、ここはよろず相談所ではないのだ」
「しかしお役人様、この事態はおかしゅうございます」
帰ろうとしていた地区会長だった。
「あちこちの娘がいっせいにいなくなるなど前代未聞、新手の人さらいが出たのではありませんか」
「そうだ、それに違いない」
「我われに何ができると言うのでしょうか、役所に力を貸してもらいたいのです」
親たちが必死に訴える。
姿を消したのは会長の孫を含め農村の娘が六人、商店街の娘が五人、大工や鍛冶屋などの職人の娘が三人だ。
ほとんどが同日に失踪するという奇怪な事件だった。
「ならば仕方ない、上部に伝えて対処するとしよう」
係官がしぶしぶ答えた。
だがさらに後日も姿を消す娘が増えていった。
娘を持つ親は青くなった。
決して外へ出るなと言いつける。しかしその日暮らしの生活では娘も大事な働き手だ。
やむを得ず仕事に出る、するとまたその娘が消えていった。
神隠しだ、かどわかしだと街はもちきりになった。
◆ ◆ ◆
「しかしお役人様、この事態はおかしゅうございます」
帰ろうとしていた地区会長だった。
「あちこちの娘がいっせいにいなくなるなど前代未聞、新手の人さらいが出たのではありませんか」
「そうだ、それに違いない」
「我われに何ができると言うのでしょうか、役所に力を貸してもらいたいのです」
親たちが必死に訴える。
姿を消したのは会長の孫を含め農村の娘が六人、商店街の娘が五人、大工や鍛冶屋などの職人の娘が三人だ。
ほとんどが同日に失踪するという奇怪な事件だった。
「ならば仕方ない、上部に伝えて対処するとしよう」
係官がしぶしぶ答えた。
だがさらに後日も姿を消す娘が増えていった。
娘を持つ親は青くなった。
決して外へ出るなと言いつける。しかしその日暮らしの生活では娘も大事な働き手だ。
やむを得ず仕事に出る、するとまたその娘が消えていった。
神隠しだ、かどわかしだと街はもちきりになった。
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