はるけき きみに  ー 彼方より -
「菱屋はちょっと得体のしれない店なのですよ」
 夕飯を囲んで八重が言った。
「店頭には用心棒がたむろしていて客も入りにくい雰囲気で」

「それで、その菱屋は何を商っているんだ?」
 マシューが聞き、
「刃物とか、薬とかです。でも中にはそれほど商品は置いてないのです」
「なんだか胡散臭い店だね」
 サジットが首をかしげた。

 紫音は帰って行く多鶴の姿を思った。
 思いつめた眼差しをしていた、それが気になっていた。


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