はるけき きみに  ー 彼方より -
 その日までは姿を消したのはすべて町人の娘だった。

 翌日に武家の娘が加わった。
 石川の妹の多鶴だ。

 八重の屋敷に石川と田中が駆け込んできた。
「こちらに多鶴はお邪魔していませんか」

「きのうの昼過ぎにいらっしゃいました。でも一刻ほどお話しをして帰りましたよ」
「話しとは?」

「もしかして、多鶴さんは?」
「いないのです、夕べ私が仕事から戻ったら母が探していて。それで、こちらにお邪魔したときはどんな様子でしたか」

「石川さん達が胡乱な男たちに囲まれたという話をして、とても心配そうでした」

「多鶴どののことが気にかかります」
 田中がまっすぐに訴えてくる。
「どんな些細なことでも結構です。探す手立てなどありましたら何とぞお聞かせください」
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