はるけき きみに  ー 彼方より -
「多鶴さんは、お二人は何がなんでも父が捜索していた事件を引き継ぐのだと言っていました。そして・・きのうの多鶴さんの言葉を借りれば、あの二人は頑固だから相討ちになっても犯人を突き止めようとするだろうと」
「そんなことまで」

 ことは彼女の消息がかかっている。
 手掛かりになることはすべて告げるべきだと思った。

「最後にこうも言っていました。もしかして夜の下町界隈、そこらに人さらいが出るかもしれませんね、と」
「ええっ」

「もしかして多鶴さんは囮になろうとしているのでは?」

 二人が瞠目した。
 ちらっと目配せする、次には脱兎のごとく走り出した。
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